保険金搾取詐欺

命がけで生命保険金を得る詐欺

時に殺人事件にも発展することもある重大な詐欺事例となっているのが保険金搾取詐欺です。
これは多くの保険会社から販売されている「生命保険」商品で保険金として発生する金額が数千万円~数億円にもおよぶようなことが珍しくないためです。

もともとの趣旨としては、残された遺族がその後の生活に困らないために多額の生命保険金が残せるようにしているわけですが、不景気ということもあり生命保険を使って借金の一括返済といったことを考えるケースも増えています。

結婚詐欺に絡んだ不審死事件でも必ずと言ってよいほど保険金がからんでおり、不自然な時期の加入や受取人の設定をしていることもよくあります。

不審な保険金発生が起こった場合には生命保険会社がかなり厳しく審査をするようになっています。
ドラマやマンガではいともかんたんに生命保険を詐取している様子が見られますが、実際にはそうした不正な請求が通るということはほとんどありません。

ここ最近に増えているのが「失踪詐欺」で、生命保険に加入している人が突然に行方をくらまし7年間姿を消すという方法です。

これは民法において失踪期間が7年間を超えると裁判所から「失踪宣告」という法律上死亡したと同様の効果が発生するという規定があるためです。

つまり失踪宣告をもとに生命保険金を受け取ることができるようになるため、経営に行き詰った社長や役員が雲隠れをするという方法がしばしばとられます。

保険会社の調査員の中では失踪宣告による生命保険金請求は90%以上が詐取というのが常識になっているため、成功率はかなり低い詐欺方法と言えます。

医師や整体師がグルになって請求を水増ししているケースも

保険金の詐取事例としてもう一つ非常によくあるのが交通事故を装った保険金詐取です。
都市伝説としてアルバイトで交通事故に遭ったことにして保険金を得る仕事があると言われているほど、怪我による保険金請求詐欺はありふれた事例です。

そうした怪我をもとにした保険金請求で最も数が多いのが交通事故による事例です。
自動車を運転する人のほとんどが自賠責保険の他に任意保険に加入をしていますが、その保険内容の中に対人対物賠償が含まれています。

対人賠償額は無制限になっている契約がほとんどで、交通事故によって怪我を負ってしまった人が実際に治療にかかった金額をあとから保険会社に請求するという方法がとられます。

そこで悪質な医師や整体師とグルになり、本来ならば既に完治している怪我を治っていないことにして何度も治療費を請求するということがよく行われます。

この場合もし詐欺であったことが明るみになったときには、詐取請求をした本人とともに加担をした医師や病院も同様に刑事責任が問われます。

診療報酬詐欺

バラエティ番組で有名なタレント医師の起こした診療報酬詐欺

診療報酬詐欺とは医療行為を行う診療所や病院において、実際に行われていない治療を元に診療報酬を請求するという方法です。

2016年7月に、バラエティ番組などで有名になった元タレントの脇坂絵理子氏が詐欺罪で逮捕をされたことにより一気に「診療報酬詐欺」という名称が知られるようになりましてあ。

脇坂絵理子氏は美容クリニックを経営しており、運営において医師の知識をもとに虚偽カルテやレセプトを積極的に作成したということが判明したことで重い刑事責任を課せられることとなりました。

この事例では共犯者の会社役員の男性と共犯し平成24年~26年までの間に自身の診療施設「Ricoクリニック」において診療報酬約154万円をだまし取っていたといいます。

平成26年11月にはクリニックは閉鎖することとなりましたが、数度にも渡り診療回数の水増しや不正請求をしており自治体に請求した約6900万円もの診療報酬のうち大半は不正なものであったということがわかっています。

診療報酬詐欺事例としては2017年3月に大阪市浪速区の歯科医院で約400万円の不正受給により運営法人の理事長が逮捕される事例や、群馬大学医学部附属病院で手術に関する不正受給が発覚しており、ここ近年になって増加してきています。

苦しい病院経営から詐欺に手を染める場合も

かつては「白い巨塔」とアンタッチャブルな印象のあった医療現場ですが、現在ではそうしたかつての権威はかなり失われてしまっています。

全国的に病院経営は苦しい状況におかれており、小さな個人クリニックや診療所では毎月の資金繰りにも苦しむというケースが多く見られます。

そのきっかけとなったのが2014年の診療報酬の改訂で、以前までとくらべて大幅に診療報酬として受け取れる額が減り、設備投資や人件費をまかないきれずに悪循環に陥るということもよくあります。

診療報酬を受け取るためには専用の請求書類である「レセプト」を作成しなくてはいけないのですが、この審査は年々厳しくなっており、いかに巧妙に診療報酬を水増しするかということに心血を注ぐ病院もあるようです。

先に紹介した群馬大学医学部附属病院における不正請求では、例えば腹腔鏡手術において医科点数表にない施術をしたにもかかわらず点数のある行為をしたように見せかけたり、高い点数の施術として記録をしていたりといったような感じです。

病院経営の悪化は医療制度そのものの成り立ちを壊す深刻な問題です。
他の詐欺事例同様に単に犯罪で終わらせてしまうのではなく、根本的に病院施設の運営を安定させていくための社会的な対応策が国を挙げて求められています。

TV番組を語る詐欺

テレビ番組への紹介を持ちかけ金銭を請求

人気番組や有名なテレビ局を騙って金銭を請求するという詐欺事例が近年増えてきています。
ここ最近の事例では日本テレビ系の「月曜から夜ふかし」に寄せられたお便りで「番組でお店のことを紹介するから20万円払ってくださいと言われた」というものが紹介されました。

他にもテレビ朝日系列の番組でも同様の金銭を要求されたという事例も報告されていることから、テレビ局が公式に注意喚起をしています。

具体的なTV番組に関する詐欺事例としては、まず街頭で番組の取材をしているかのようなことを持ちかけ、そこで現金の要求をされるというような場合があります。

似たようなものとしてモデルスカウト詐欺があり、街頭でタレント志望の人に声をかけて有名芸能事務所のスカウトマンであるかのように装い、その後登録料やレッスン料として多額の金額を巻き上げるというやり方をしています。

やや手の込んだ方法としては、現金を直接要求するのではなく一時的に預けてくれればあとで返金をするという言い方をすることもあるようです。

金銭の他に金目の物品を取材と称して預かりそのまま行方をくらますという事例も報告されているので、安易に貴重な品物を預けないようにした方がよいでしょう。

詐欺被害者に追い打ちをかける取材詐欺

2013年に愛知県で実際に起こった事例に、詐欺被害者への取材詐欺というものがあります。
具体的には、名古屋市に住んでいた60代の男性に対し「振り込め詐欺に遭ったときの取材をしたい。被害金の返金を手伝う」といったことがテレビ局を名乗る人物から持ちかけられました。

被害者はそれ以前に100万円程度の振り込め詐欺の被害に遭っており、そのこともあって被害額を返金してもらうことができると思い話を聞いたといいます。

しかし詳しく内容を聞いてみると、返金を受けるためには株式会社ゴールドバンクというところに投資をしなければいけないというふうに言われます。

その後しばらくして株式会社ゴールドバンクを名乗る人物からテレビ局の担当者が建て替えた金額があるので、そのうちいくらかを支払ってほしいという連絡が入ります。

指示通りに言われた口座へ数十万円を振り込んだところ、そのまま連絡がとれなくなってしまったというのが事例です。

この詐欺の巧妙なところは、実際のテレビ局や大企業によく似た名称を意図的に使用することで、まるでグループ企業であるかのような錯覚をさせているということです。

実在する「中京テレビ」に対し、この詐欺で用いられたのは「中京放送」で、立派な会社パンフレットまで持参していたといいます。

テレビ局からの取材で金銭を要求されるということはありませんので、気をつけて下さい。

情報商材・学習教材詐欺

訪問販売による教材詐欺事件

ここ近年で最も大きく報じられた学習教材詐欺事例として、小中高校生向けの学習塾である「ブレス」を運営していたエフォートカンパニー事件があります。

エフォートカンパニーは東京都を中心に運営をしていた会社で、学習塾運営の他に教材販売も行っていました。
しかし2015年11月末頃に急に事務所と連絡がとれなくなり、実質的な破綻状態になっていたことがわかりました。

被害者は首都圏内に200名以上、中には300~400万円ものクレジット契約を結ばされていた事例もあり、事件発覚前に会社社長と塾長経営者が逃げたということで大きな詐欺事例として報道されることとなりました。

エフォートカンパニーが用いていたのは「モニター商法」と言われる手口で、最初は無料もしくは格安で高額商品の購入ができるとうたい、結果的に高額のローンを押し付けるという方法でした。

最初にエフォートカンパニーは保護者に対し「学習教材のモニター契約をすれば教材の金額は会社が肩代わりする」といった説明をし、クレジット会社に対して数百万もの契約をさせています。

ローンを組むときには信販会社から契約内容についての問い合わせがあるのですが、それに対しても全て「はい」と答えておけばあとで支払うかのようなことを言い巧みに教材購入を促してきました。

こうしたモニター商法を取り始めたのは2015年4月以降の急激に経営が悪化してからで、実際に教材を手渡していないにも関わらず多額の金銭を受けるという方法で資金の水増しを行っていました。

学習教材詐欺はこうした子供向けの教材で行われることが多いのでですが、成人向けの習い事としての英会話教材や資格教材でも同様の詐欺が報告されています。

投資・ギャンブルに多い情報商材

インターネットが普及したことにより、被害が拡大した詐欺の一つに情報商材詐欺があります。
情報商材とはお金を支払うことで通常では得ることができない重要な情報・ノウハウを得られるようにするというものでです。

古くは「競馬必勝法」や「パチンコ必勝法」といったようなギャンブルにおける秘密情報を扱う商売としてユーザーを獲得してきました。

現在ではネットを使ったビジネスに関する情報商材が増えているのが特徴で、「アフィリエイトで○億円稼ぐ方法」や「FX必勝法」といったような商材が販売されているものをよく見かけます。

情報商材詐欺の難しいところは、どこまでが詐欺であるかがはっきり線引されないということです。
受け取った情報に価値があるかどうかは簡単に決めることができませんので、かりにインチキやウソを書いた内容でも読んだ人が価値があると思えばそれは詐欺ではなくなってしまいます。

結婚詐欺

悪質業者は魅力的な人間が多い?

詐欺の手口として相当昔から存在してきたのが結婚詐欺です。
ここ近年に大事件になった事例だけを挙げても、2017年5月10日に死刑判決が確定したことで知られる木嶋佳苗被告や、2015年末に詐欺と恐喝で逮捕をされた嶋崎司被告がいます。

他にも結婚詐欺によって逮捕をされたというニュースは数多く伝えられており、報道されないものを含めて被害はかなり大きいと思ってよいでしょう。

世間的なイメージとして「結婚詐欺をするような人間はとても容姿がよく、異性にモテまくるような人間なのだろう」と思われがちですが、実際の被害事例を見ると必ずしもそうとは言い切れない部分があります。

例えば連続不審死事件によって逮捕・起訴された木嶋佳苗被告などは、美女とは言い難い容姿にも関わらず何人もの男性を手玉にとってきたということで非常にセンセーショナルに報道されました。

ただし「モテる人が結婚詐欺をする」というイメージもあながち間違いというわけではありません。
結婚詐欺をはたらく人というのは男性・女性ともに自分の魅力をよく知っているということで共通しています。

また現代人にありがちな孤独感や焦燥感、捨てられることへの恐怖といった人の弱みを上手に見抜き、つけ込んでいくという能力に長けています。

むしろ「早く結婚したい」「ずっと一緒にいてくれる人が欲しい」といった人にとっては、モデルや芸能人のような美男・美女よりも親しみのある人の方が魅力的に映ることがあります。

プロの結婚詐欺師になるとそうした結婚に焦る人が集まる場所を漁場として見つけ、次々と釣り針を垂らしていく行動をとります。

「金銭問題のせいで結婚できない」は常套句

結婚詐欺の手口として古典的とも言える方法が、「金銭問題があるので結婚ができない」という相談です。

婚活パーティーや出会い系オフ会に出席をし、そこで恋愛経験がなさそうな内気なタイプの人を選んで積極的にアプローチをします。

最初のうちは非常に態度もよく、明るくて積極的にリードをしてくれることからついつい「運命の人かも」といった錯覚を起こしてしまいます。

しかしある程度付き合いが深くなってくると、結婚の話をしようとすると落ち込むような仕草を見せるようになります。

このとき自分からお金の話をしないというのがポイントで、悩みを聞き出させることにより自然にお金の問題を提示してきます。

「実家に借金がある」「家族が難病だ」といったことで数百万単位で金銭を要求し、それが解決すればすぐにでも結婚ができると言って何度も同じようにお金を出させていくというのがよくある手口です。

また預貯金や資産が空っぽになったタイミングで都合よく海外に出張になったりして姿を消すというのもパターンです。

還付金詐欺

高齢者の不安につけこむ還付金詐欺

2000年代の始め頃から目立つようになってきた詐欺の手口に還付金詐欺があります。
還付金詐欺とは、「返金するお金がある」という内容の電話が突然かかってきて言うとおりにしていると個人情報を聞き出されたりATMで振込を誘導されたりするというものです。

警察庁の調査によると、2007年に還付金詐欺として報告された被害件数は約2,500件であったのに対し、2008年には4,500と約二倍に増えており、その後も現在に至るまで右肩上がりで増え続けています。

主なターゲットにされているのは高齢者で、社会保障制度に対しての不安が高まる中「お金がもらえます」という甘い言葉をかけることで逆に預貯金を引き出させようとしてきます。

手口としてはまずある日突然に自宅に税務署や社会保険庁の職員を名乗る人間から電話があり、「税金の還付金がありますので、今すぐキャッシュカードを持ってATMに行って下さい」と誘導をしてきます。

高齢者が狙われやすいのは、社会保障制度に関しての不安が大きいということと、ATMの操作に慣れていないからです。

ATMがそもそもどういうものかということがよくわかっていないこともあり、電話で言われたとおりに素直に指示をしているといつの間にかお金が犯人の口座に振り込まれてしまっていたということも珍しくありません。

複雑な手続きも「還付金を得るために必要だ」というふうに説明をされるとそういうものだと思いこんでしまいます。

インターネットが普及される前までは個人情報の取扱が非常にゆるい基準で行われていましたので、高齢世代になるほど個人情報を明かすことに抵抗感がないということも被害が拡大する理由です。

公的機関の職員がATMに誘導することはありません

こんなに還付金詐欺についての危険性が伝えられるようになった現在になってなぜまだ引っかかるのかと思う人もいるかもしれませんが、詐欺グループは年々新しい方法を使用し言葉巧みに騙しにかかってきています。

例えば電話で「年金制度が変わったので還付金を支払う。キャッシュカードを持って銀行に行って」と指示をしてまず銀行などのATMの前にまで行かせます。

そこで最初にATM画面を英語に切り替えさせ、預金残高を表示させるように指示をしてきます。
自分の現在の預金残高を正確に覚えている人はそうそういませんので、知らないうちに詐欺グループに自分の預貯金額を教えることになってしまいます。

巧妙なのがその数字を残高とわからせないように右から数字を読むように指示をしたりすることです。

その金額を踏まえた上で英語表示のまま「振込」ボタンを押させるので、気がついたときには残高がほぼ全部抜き取られていたという被害が発生します。